奥歯にモノが挟まったような夫婦関係 ~かかあ天下~
留美が逆ナン同然にかつて住んでいた池田市のコーポにほかの男たちと同様和樹さんを自分の専用物にしたく引き入れた頃まではそれでも表向きは弱い立場にありました。 だから和樹さんは例え泊まらせてもらえなくとも車中泊で彼女を他の男が寄り付かないよう見守り続けたんです。 それがほんの少し変わり始めたのは同棲をすることになったその日からです。
コーポでは天井高の低すぎる (彼は180センチを超える長身) シングルの布団に一緒にくるまって寝かせてもらえたものを、マンションに移ってからというもの留美はベッドで、彼は床かソファーで寝かせられるようになっていったのです。 しかしそれでも同棲中は時折ベッドに招き入れられ肌に触れながら一緒に寝ることが出来ました。
ところが母である久美の元に結婚報告のため帰郷し、その久美から直々に (当てつけのように) 「結婚してもいいけど子供だけは作らないでね」 と言われたことでふたりの性活がガラリと変わりました。 なぜなら和樹さんは子作りに励みたかったものの留美を戸籍上も手に入れたいがため久美に 「はい、そうします」 と口走ってしまったからです。
ところが帰郷し、婚約報告をした途端当の母から子作り迷惑宣言が飛び出したのです。 しかも和樹さんが留美の実家を非常に気に入り長男であるにもかかわらず 「老後はここで棲みたい」 と婿入りしたい旨言い出した辺りから雲行きが妖しくなり始めたんです。
「あらっ 留美はこの地区もこの家も嫌いって出ていかなかったっけ?」 と、こう言われ 「それはそうだけど」 と応えると 「別に気にしてもらわなくていいから、家も土地も私が死ぬときは処分して死にます」 と、こう言い切られたんです。
「いやっ お義母さん、それはもったいないです。 僕も時々遊びに来ます。 こんな風光明媚で大きな屋敷ときれいな家。 もったいないです」 こう言って取り繕ったんですが、その時はもう遅く 「嫌いなものを無理に来てくれなくても結構」 にべもないんです。
「私が死んだときはあなたに知らせが行くよう手続きはしてあります。 あなたはただ遺骨をあのお墓に納めてくれればそれでいいんです。 費用は宿泊料やなんやかんや込みで200万用意しとけば良かったはずよね」 と、こう言い切られたんです。
「ほらっ だから言ったじゃない。 帰ろう、別にこんなとこ見たくもないし」 故郷を後にした時そのままに和樹さんを急かしランクルを駆って大阪に舞い戻ってしまったんです。
”女心と秋の空” それそのままにこの瞬間留美の気持ちがコロッと変わってしまい、これ以降和樹さんは付き合い始める以前と同じ便利屋のアッシー君に格下げされてしまったのです。
おまけに帰省した折、大型ショッピングタウンの駐車場で同窓生でかつて同じ会社に勤めていた同僚とバッタリ出くわし、その子の元亭主に留美が手出ししたんじゃないかと、寝取ったんじゃないかと疑ってかかって、しかも実際LINEのやり取りや頻繁に出逢うなどしててとうとう亭主が留美を追っかけ始め離婚したんだと聞かされ、なお一層落ち込むと言いますか昔の気質に戻って行ったんです。
母の久美はもちろんのこと、留美の実の姉や祖母の好子までもが女衒の血筋なのか漢とみれば見境なくオンナを魅せ付けてしまう。 そう言ったことが無いよう気を使って育ててきたつもりだった母 久美なんですが、猫かわいがりで本性が見えなくなってしまっていて気が付いたときには自分たちの上を行く男好きと知って落胆し何かにつけて撥ね付け始めてたんです。
公証役場を通じ家族全員に遺産放棄させ、遺言書を書いて法人に遺産の全てを譲るとまで言い切ったんです。
それには深いわけがありました。 久美が明日をも知れない状態になってるというのに入院を経て退院までの1年間、一度たりとも面会にすら来ず、ひたすら男遊びしてたからでした。 自分が離れようとしても男が放してくれず、逆に男が見放しても今度は留美が後を追いかけるなど母からすれば腐りきった性活を送っていたくせに、いざ退院したとなると待ってましたとばかりにモノをねだりに帰ってきたんです。
自分がお腹を痛めて産んだ子なれば可愛いには違いないんですが、子孫にもうこのような子が生まれるのは沢山と決めてかかっていたからです。
自分でそれをわかっていて、でも止められないからこそ留美も久美も勝気にふるまって来てたんです。
自分の蒔いた種とはいえ本社から支社への転勤を命じられ、自暴自棄になり神戸に行ってやると息巻いていたところを和樹さんのアイデアでやっと引き留めてもらえ支社に比較的近い今の場所で暮らす気になりましたが、本社へは自転車通勤していたものが支社は住まいから遠いため電車通勤になったのです。
変な輩がうろつく電車内のことを心配する和樹さんに 「別に~ 平気だよ。 以前だって休みにはしょっちゅう電車に乗ってたんだから」 こう応えていたものの遊びで出かけるのと大違い、実際通勤で利用してみると行き先が仕事場だけに冷めた目で見るせいか粗が目立ち噂通りに思えてしまったんです。 かと言って一旦こうと言い切った手前そうではないとはいえず留美のこと、逆に目立つ服装で通勤し始めたんです。
食事にしたってそうでした。 わざわざ料理学校に通ってたくせに彼に美味しいものを食べさせてあげたのは池田市のコーポにいた時だけ。 マンションに移ってからは自炊する気にもなれず留美はひたすら牛丼チェーン、彼は自分用に創作料理を食べ、しかもそれを弁当に詰め職場に通う毎日。 若くして? (留美36歳 和樹さん41歳) 別居同然の夫婦生活を送っていたんです。
早出・遅番がある留美と違い和樹さんは常日勤、起きてるときに顔を合わす機会さえ失っていったんです。
こうなるとあれほど嫌だった通勤電車が唯一の息抜きの場になってしまったんです。 少なくとも留美をまだ女とみてくれるのは通勤電車の乗客だけのように思えてしまったんでしょう。 思わせぶりは格好をしてしまうようになっていったんです。
女とは不思議なもので自分を求めてくれる人だけのために装います。 職場は制服着用な義務、となると留美に関心を寄せてくれるのは電車の中だけ。 彼女はそのために早起きし化粧し出かけて行ったのです。
留美はシフトで常勤の旦那とは休みも合わないものだか独りで何処かに出かけるようになり、声を掛けてくれた人のために装うようになっていったんです。
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アップデート 2025/01/11 07:10
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