あんなガキより儂の方が… ~墓前交尾~
酒が抜けると如何に村の衆に負けないよう炭を焼く事ばかり考えてる金衛門。 だがひとたび焼酎が入ると人が変わったように荒れ狂う。 だから仕事をしない時は四六時中焼酎を欲しがった。 日本酒に比べ甘ったるくなくモノによっては度数が高い、つまり酔いやすいからだ。
幼いころより輝久は親爺の言いつけで峠を越え37度の白波10本入り木箱を取りにやらされていた。 その木箱の上にイカの塩辛の樽を乗せ背負って峠を越え持ち帰るのである。
もっと大変なのは里の酒屋で、頻繁に焼酎などを預け置く家に出向き縁側に積み上げた焼酎やイカの塩辛の樽があるか確かめ、無いなら急いで補充しておかなければならない。
輝久はほぼ毎週一回空き箱と空き瓶を背負って来て酒屋が置いて帰った焼酎を持ち帰らなければならないのだ。
焼酎の勢いを借りて威厳を正す金衛門はだから冬子が来た途端飲む量が増えた。 週一回 (毎日一升) で十分と思っていたら足りなかったのだ。
焼酎を箱ごと数ケースにイカの塩辛の樽まで縁側に無遠慮極まりなく山積みし平然と深夜に持ち出される。 苦情を言おうにも仕返しが怖く何も言えない。
こうなると深夜に使いに出される子供が哀れなどという感情すら湧き起らなくなる。 輝久は父親と同じぐらいこの地区の住民から嫌われていた。
凡そ7日毎に焼酎を取りに来ていた輝久が5日毎現れるようになると流石に縁側を占領されているお宅も苦い顔をした。 このお宅が苦々しく思っているのだから酒屋は尚のこと苦々しく思っていたのではなかろうか。
それというのも縁側を提供している家の誰かがある日酒屋に焼酎が邪魔だとポツリと漏らした。 その焼酎は品切れであったものを急ぎ持ち寄っており今日の家に届かないことには鉞が振り降ろされる… 風に捉えかねないお腹立ちだったのだ。
責任を感じた酒屋は無理を承知でこれを担ぎ峠を越えようとした。 頂上までの道は上り坂とは言え比較的緩やかだった。 ところがこの峠から金衛門家への道に至ってはまるで転がり落ちろと言わんばかりの急勾配だったのだ。 下り始めて間もなく、酒屋は足を滑らせ弾みで前方に転がり酒瓶をことごとく割ってしまった。
謝れば済むことではない。 焼酎の届くのが遅れたばかりかその急勾配の獣道に一升瓶のガラス片が散乱してしまったのだ。 金衛門に烈火のごとく怒鳴られ酒屋や着て来た衣服を脱ぎ、それに獣道を這いずり回りガラス片を搔き集め持ち帰り、急ぎ代わりの焼酎を運んできた。
儲けどころか大赤字である。 しかも当時この集落に自動車が通れるような立派な道が無かった。 一度目は運搬自転車の荷台の乗せ持ってきていたが、二度目は失敗が許されぬこともありリヤカーに載せ歩いて運んで来ていたのだ。
縁側の家の前で精も根も尽き果てへたり込んでいるところを輝久が見つけ背負って峠を越えていったのだ。
後々聴けば成る程で、輝久はこの峠を荷を背負って下る際、決して道の真ん中を歩かず左足は道の左側に生えている木や熊笹の根元に足をかけ、右足を出す場合も左足と同じように木の根元やササの根元に… という風に滑らないようバランスを取りつつ下っていたのだ。
本来ならこうまでして我が儘を通す金衛門こそ悪いのだが輝久は特に冬子と金衛門が睦逢うようになってからというもの不平不満を一言も口にしなくり、ただ黙々と焼酎を運び続けたのだ。
輝久には輝久なりの考えがあった。 泥のように疲れてはいたが義母の冬子を取り戻すんだという気持ちは失せていなかった。
反面、金衛門は無理を承知で冬子を堕とし続けていた。 少しでも気を抜くと冬子はこの期に及んで吉村家から逃亡を図ろうとし輝久を頼ろうとするからだ。
逃げるのは許せても輝久と冬子が睦逢うようなことを許す気にはこれまでの生活の中一度たりとも覇者という位を譲った覚えがないだけに負ける気になれないようなのだ。
その輝久が何故だかこの頃父親の金衛門に焼酎を勧めたがる。 うんと呑ませ焦がれているはずの冬子と絡ませたがるのだ。
金衛門はだから輝久の思惑通り輝久の目の前で焼酎を呷っては輝久に冬子との結合部を、悶え苦しみつつ堕ちる恋焦がれた女の様子を魅せ付けようとした。
ろくに喰わせていないとはいえ輝久は金衛門よりずいぶん若い。 溜まった膿が体内で暴れ、それを忘れようと苦悶するであろう様子を思い浮かべるに気散じてならなかったのだ。
この日は朝から風が強かった。 雲行きから見てももうそろそろ雨が雪に変わろうかという晩秋の端境期にあった。 こう荒れては山子仕事は休まざるを得ない。 そこで金衛門は朝から焼酎を呷り冬子にもう二度も注いで酔いも随分回っていた。
疲れて横になろうとすると何処からともなく輝久が現われ上がり框に例の焼酎の木箱とイカの塩辛を降ろし無言で去っていったのだ。
一升瓶に焼酎が半分程度残っていた。 冬子は輝久が金衛門へ焼酎を勧めないかと目顔で忠告したように思えそれほど嫌うならと、それほど汚いものを見るような目で見つめるならと敢えて腹立ち紛れにその焼酎をどんぶりに入れ差し出し萎えが始まっている屹立を前に回って咥えしゃぶり始めた。
小馬鹿にされたような気になって金衛門、一気に焼酎を飲み干すと冬子にのしかかり屈曲位で責め始めた。 ふたりのオトコが己を賭け争ってくれていると知って冬子は乱れた。 組み敷かれつつも金衛門のアソコを扱き上げ中に三度放出させようとしたのだ。
金衛門は金衛門で無理と分かっていながらも輝久が何処やらから覗き見ていそうな気がし寝取られてなるものかと力んだ。 う~むと唸ったのが金衛門にとってこの世の最後の言葉となった。 冬子の腹上で卒倒したのである。
このことは冬子にとって更なる興奮材料となった。 腹上の漢がどうなろうと自身は火消しに躍起になってしまっていたのだ。
もはや親指程度まで縮こまった金衛門のマ〇。 興奮し赤銅色だった顔も徐々に青みが増し冬子に腹上から振り落とされたものだから座敷の片隅で九の字に躰を折り曲げ横たわっている。
当の冬子は未だ興奮が治まらないらしく衣服も正そうとしない。
何処から覗き見ていたのかそこに輝久が現われ雪まみれの衣服を脱ぎ捨てた。 さぞかし寒かっただろうに躰から湯気が立っている。
恐らく憎き親爺はもうこの世にいないと思われるのに手を合わそうともしない。 それどころか冬子を前にしマ〇が反り返っているのだ。
気が動転しているにも関わらず女としての興奮が治まらない冬子は思わず輝久が与えてくれたように思えマ〇を手に取り口に含んでいた。
覇者の交代劇が散っていった前王を前にして始まった。 輝久が冬子にのしかかったのではない。 冬子が恐怖を克服したいがため輝久にのしかかったのだ。
組み敷かれた輝久はしかし、着実に冬子の中に残された金衛門の体液の掻き出しにかかっていた。 ライバルを追い落としたという気持ちが輝久をして王としての自覚を呼び起こしマ〇の充血を呼び冬子への仕込みにかからせていた。
冬子は冬子で輝久が与えてくれているマ〇を恋の成就と受け止めその雄々しさに酔いしれ今しがた仏を乗せていたことなど忘却の彼方にあったのだ。
酒屋が峠を下りかけて焼酎の瓶を地面に叩き付け砕け散ったのを見て親爺の殺害を思いついたのだ。
だが悲しいかなこの時の輝久には生涯を賭して金衛門が教えてくれた ”女の裏切りには気を付けろ” という言葉は通じなかった。
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アップデート 2025/01/11 07:10
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